ある日、突然に・・・

出張先のホテルでくも膜下出血で倒れ、救急搬送されました。突然「死」を突きつけられた経験から、感じたこと考えたことを綴っています。

2024年7月24日 ICU2日目

7/23(火)の午後1時から手術、午後3時頃ICUの病室に入ったとのこと。

ICUでは、個室に入っていた。

ICUに入っていた数日は、恐らく1日のほとんどを寝ていたようで、あまり記憶がない。

毎朝、看護師さんが検温と瞳孔のチェックに来てくれていたのは覚えている。

あと、手の指を広げたり、足を動かしたりして後遺症のチェック。

看護師さんは、昼と夜で交代する上、数名いたので、申し訳ないが、誰が誰だが覚えられなかった。

主治医のF先生も、毎日来てくれた。

「仕事ですか?」と聞かれたのを覚えている。

職業、仕事の内容を簡単に話した。

付き添い人なく意識不明で救急搬送されたから、どこの誰?だよね。

どんな人かわからなくても、全力で命を助けてくれる。仕事とはいえ、頭が下がる。

なぜ、動脈瘤ができるのかを質問したら、「原因はわからない」と。

そっか、まだ科学的に不明なんだ・・・。

「ストレスかな。。ここんとこ、ほとんど休みがなかったんです。日曜日も仕事をしていることが多いです」と伝えたら、黙って聞いてくれた。

主治医のF先生は、余計なことを話さない。

入院して最初の2~3日は食事もあまりできず、寝てばかりいたかな。なので、記憶があまりない。

2024年7月23日 救急搬送された日

ホテルの部屋のドアを、激しくドンドンと叩く音と男性の大きな声。

急に目が覚める。

「ホテルの部屋のドアを叩いている」

「ホテルの人が気づいてくれた」

そして、また眠る(意識を失う)。

次に目が覚めたのは、救急隊の人の「ガタっとしますよ」の声。

ストレッチャーがガタンとなる。

「もう一度、ガタっとしますよ」

ストレッチャーがガタンとなる。

次に目が覚めたのは、「せーの!」という掛け声。

手足を持たれて、救急のストレッチャーから病院のベッドに移されたんだ。

「保険証はありますか?」と声をかけられ、「財布の中です」と答えた。

確か、私の目の前まで財布を持ってきて、「開けますよ」と言われた気がする。

次に「アレルギーはありますか?」「体重は何キロですか?」と聞かれた。

そして、また意識を失う。

朧げだが、カテーテルで脳の中に何かを入れるというような説明を聞いたように思う。

カテーテルという単語だけは、覚えている。

次に覚えているのは、看護師さんから「これを吸ってください」と管を渡されたこと。

「麻酔かな?」と思い、管を吸ったらすぐに意識を失ってしまった。

次に目が覚めたのは、薄暗い部屋の中。

看護師さんから、「ここ、どこかわかりますか?」と聞かれた。

「病院ですよね」

「どこの病院かわかりますか?」

病院の名前なんて、わかるわけない・・・。

「静岡の病院ですよね?」と返すと、病院の名前を教えてくれた。

そして、また意識を失う。

主治医が病室に来てくれたのが、この日なのか翌日なのかわからない。

できれば、この日の出来事が映像で見てみたかったな。

2024年7月22日(月)くも膜下出血翌日のこと

朝、何故か突然目が覚めた。

職場からの電話の音か。。

今日、出勤できないことをメールで伝える。

意外ときちんとしたメールを書けた。意識はしっかりしてるし、スマホでメールを入力できた。

送信して安心したせいか、スマホを枕元に置いたら、眠ってしまった。

眠っていたと言っていいのか、意識混濁だったのか。

 

後から看護師の友人が、エアコンつけていて良かったと。もし、消していたら熱中症になっていたかもと。エアコンのスイッチに手が届かなかったことは、幸運だったのか

2024年7月21日(日)のこと

毎年、5月から7月にかけて、全国に出張する。

7/21(日)は、翌日からの仕事のために前入りで静岡へ。

せっかくの日曜日なので、早めに静岡入りして、どこかに観光しようと思っていた。

朝、目覚ましで起きると、体がめちゃくちゃだるい。

先週からかなりしんどかったけど、1日ゆっくり寝たら楽になると思ってた。

このだるさでは、観光は無理。

もう少し寝て、夕方、静岡に着く新幹線で移動しよう。

昼前に起きて、荷造り。

旅慣れているので、何をパッキングするか頭に入っている。

でも、体がだるくて少しパッキングしては休憩。

新大阪駅でランチ。

食欲が全くないけど、何か食べなくては・・・。

だし茶漬けのお店に入る。

さっぱりしただし茶漬け、美味しい。

夕方17時頃、静岡到着。

夕食はホテルの部屋で食べよう。

食欲がないので、さっぱりしたものがいいかなと思い、冷やし中華をコンビニで購入。

いつものホテルまで、タクシーで移動。

お天気が良ければ、窓から富士山が見える部屋。

スーツケースを開けて、スーツやブラウスをハンガーにかける。

化粧品などをいつものように机に置く。

明日の仕事のためのテキスト類をカバンに詰める。

体がしんどい。。

無理矢理、買ってきた冷やし中華を食べる。

味がおかしい・・・。

腐ってる?

レモン醤油のタレの味がしない・・・。

何か、おかしい。

体がだるいので、横になる。

シャワー、朝にしようか? いや、寝過ごしたら大変。今、がんばって浴びよう。

「光る君へ」を見て、シャワー。

体を洗い、髪を洗い・・・。

冷房で冷えた体を温めるため、お湯の温度を40度にして、腕や肩にかける。

最後の仕上げで、頭からお湯をかけていたら、プツンという感覚。

何だろう・・・。

そして、頭の中を何かが流れている。

慌ててシャワーを止める。

やっぱり、頭の中に何か流れるものが・・・。

「こういう時は安静にした方がいい。ベッドに横になろう」

慌ててバスタオルで体と髪をふいて、ベッドへ・・・。

仰向けになると、後頭部に流れるものが・・・。

「もしかしたら、次に吐き気がくるのでは」

案の定、強い吐き気であわててトイレへ。

2度、吐いた。

少しトイレで様子を見る。

もう、吐き気はなさそう。

ベッドに戻ろうとしたら立てなくなっていた。

バスルームから転がるようにして廊下に出る。

少しの間、廊下で横になってしまった。

「こんな所で寝ている場合じゃない」

がんばって、這うようにベッドに移動。

下着をはき、ホテルのパジャマのズボンをはく。

パジャマの上を着ようとしたけど、腕を通すために起き上がることができない。

体の上にかける。

エアコンをかけたまま寝たら、夏でも風邪をひきそう。

でも、エアコンのスイッチを取ることができない。

諦めよう。

頭の中を流れるものは、かなり少なくなった。

「もしかして、これって血?」

意識が少し遠のく感覚。

「もしかして、このまま死ぬことがあるのかも・・・」

「予想していたより、短い人生だけど、やりたいことを色々挑戦したよな。」

「このまま死ぬとしても、それはそれで仕方ないな」

体が動かせないこともあってか、意外とあっさり死ぬことを受け入れている自分がいた。

心のどこかで、「これでやっと死ねる」という気持ちも。

よほど、疲れていたんだろう。

もし、生きて家に帰れたら、合同会社はすぐに解散しよう。

家にある服とかも処分しよう。

そんな考えがすぐに浮かんで、気持ちが楽になる・・・。

そして、意識が遠のく・・・。